小泉恵一 ②

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Ecce Homo【この人を見よ】
作品解説
聖書解説 ヨハネの福音書18章、19章
西暦1世紀初頭、ローマ属州
南ユダ・イスラエル王国首都エルサレムで、
原告のユダヤ議会の要請を受けたローマ人
ユダヤ総督ポンテオ・ピラトは
イエス・キリストの裁判を実施した。
ピラトは問う。
「あなたは、ユダヤ人の王であるか」。ヨハネによる福音書 18:33
イエスは答える。
「あなたの言うとおり、わたしは王である。
わたしは真理についてあかしをするために生れ、また、そのためにこの世にきたのである。だれでも真理につく者は、わたしの声に耳を傾ける」。
ヨハネによる福音書 18:37
此処でイエスの言う王国と
国民とは、イエスの声に耳を傾ける人々、すなわち、クリスチャンの事を指す。
イエスの王国は地上の国土を持たず、それまで存在してきた
如何なる国家とも異なる神の奥義「教会」である。
しかしこの時点では、ピラトの目には見ることができない。
再びピラトは問う。
「真理とは何か」
イエスの言う真理とは彼自身の生命を
指すが、イエスが証しするの
は全ての人に対して開かれる
神と人との交わりである。
ピラトは言った。
「わたしには、この人になんの罪も見いだせない。」
ヨハネによる福音書 18:38
ユダヤの祭司には、モーセの律法において、
生贄が完全さを審査する任務があるが、
ユダヤ人の大祭司たちは本来の使命を放棄し、
イエスを傷物と見做し、
憎んで殺そうとしている。
しかしながらローマ人ポンテオ・ピラトは
イエスの潔白を認めた。「最後の生贄」
の完全さを証言した者はこの異教徒であった。
この出来事がキリスト教信仰の成立とヨーロッパ人と中東及び極東におよぶキリスト教徒の
社会観の基礎を形成した。
およそ二千年後の現在、20億人を擁する
キリスト教会にも完全に受け継がれている。
また現代の国際社会の根底に影響を
与え続け、全人類にイエス・キリストを
主と呼ぶ、贖罪による救いの門戸を
開き続けている。
人類文明はこれらの出来事の延長線上に
位置していると云う事が出来る。
未だ、最終的な結末には達していない。
私達、現代人はイエス・キリストの業績の
プロセスに生きているのである。
彫刻作品解説
この作品はヨハネによる福音書18–19章に描かれる裁判場面を、象徴的かつ対照的に表現しています。
左のピラト像は白いプラスチック素材で、衣服のドレープや伸ばした手の仕草により「問いかける」姿勢が強調されています。一方で右のイエス像は黒みを帯びた金属(減摩合金)で表現され、頭には茨の冠、身体は痩せ細り、鎖に繋がれています。光と影、白と黒、権力者と囚われ人という二項対立がコントラストを形成しています。また、背景にギリシャ語原典の聖句が配され、作品そのものが「言葉と造形」の両面で聖書の出来事を再現していることが伝わります。
ピラトが「問いかける存在」として前に手を伸ばし、イエスが「沈黙と証言を内包した存在」として立つ構図は、神学的に深い対比を表現しています。両者の距離感もまた、真理を問う人間と真理そのものであるキリストの関係性を象徴しています。
全体として、聖書本文・造形・解説文が三位一体のように響き合い、神学的・芸術的メッセージを発信しているのです。
作品製作/解説文 小泉恵一
釈文 ヨハネの福音書18章、19章口語訳聖書1955
28 それから人々は、イエスをカヤパのところから官邸につれて行った。時は夜明けであった。彼らは、けがれを受けないで過越の食事ができるように、官邸にはいらなかった。
29 そこで、ピラトは彼らのところに出てきて言った、「あなたがたは、この人に対してどんな訴えを起すのか」。
30 彼らはピラトに答えて言った、「もしこの人が悪事をはたらかなかったなら、あなたに引き渡すようなことはしなかったでしょう」。
31 そこでピラトは彼らに言った、「あなたがたは彼を引き取って、自分たちの律法でさばくがよい」。ユダヤ人らは彼に言った、「わたしたちには、人を死刑にする権限がありません」。
32 これは、ご自身がどんな死にかたをしようとしているかを示すために言われたイエスの言葉が、成就するためである。
33 さて、ピラトはまた官邸にはいり、イエスを呼び出して言った、「あなたは、ユダヤ人の王であるか」。
34 イエスは答えられた、「あなたがそう言うのは、自分の考えからか。それともほかの人々が、わたしのことをあなたにそう言ったのか」。
35 ピラトは答えた、「わたしはユダヤ人なのか。あなたの同族や祭司長たちが、あなたをわたしに引き渡したのだ。あなたは、いったい、何をしたのか」。
36 イエスは答えられた、「わたしの国はこの世のものではない。もしわたしの国がこの世のものであれば、わたしに従っている者たちは、わたしをユダヤ人に渡さないように戦ったであろう。しかし事実、わたしの国はこの世のものではない」。
37 そこでピラトはイエスに言った、「それでは、あなたは王なのだな」。イエスは答えられた、「あなたの言うとおり、わたしは王である。わたしは真理についてあかしをするために生れ、また、そのためにこの世にきたのである。だれでも真理につく者は、わたしの声に耳を傾ける」。
38 ピラトはイエスに言った、「真理とは何か」。こう言って、彼はまたユダヤ人の所に出て行き、彼らに言った、「わたしには、この人になんの罪も見いだせない。
39 過越の時には、わたしがあなたがたのために、ひとりの人を許してやるのが、あなたがたのしきたりになっている。ついては、あなたがたは、このユダヤ人の王を許してもらいたいのか」。
40 すると彼らは、また叫んで「その人ではなく、バラバを」と言った。このバラバは強盗であった。
ヨハネによる福音書 19
1 そこでピラトは、イエスを捕え、むちで打たせた。
2 兵卒たちは、いばらで冠をあんで、イエスの頭にかぶらせ、紫の上着を着せ、
3 それから、その前に進み出て、「ユダヤ人の王、ばんざい」と言った。そして平手でイエスを打ちつづけた。
4 するとピラトは、また出て行ってユダヤ人たちに言った、「見よ、わたしはこの人をあなたがたの前に引き出すが、それはこの人になんの罪も見いだせないことを、あなたがたに知ってもらうためである」。
5 イエスはいばらの冠をかぶり、紫の上着を着たままで外へ出られると、ピラトは彼らに言った、「見よ、この人だ」。
エレベーターピッチ
「私は小泉恵一と申します。聖書や古代史を題材に、錫や青銅を使った具象彫刻を制作しています。聖書の知識は世界史やヨーロッパ言語の学習に不可欠ですが、現在日本では99%以上の人が聖書を知らないという統計があります。
作品は聖書の言葉や歴史的象徴を現代に豊富な資料や解説と共に可視化し、人々が体験的に聖書や世界史について新たに考えるきっかけを提供します。また作品展示会場では朗読会や
作品解説、一般来場者とのディスカッション等を常に行っております。
私の目標は、芸術を通じて古代から現代をつなぐ対話を生み出すことです。」
ポートフォリオ
https://drive.google.com/open?id=1XpKOk1s-LHkFjHyLq6ML8MyRqf_u-T1X
snsURL
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佐藤からのコメント
造形が非常に素晴らしいです。技術、表現力に申し分ありません。
テーマですが、キリスト教をテーマにすると、キリスト教の人だけに受け入れられます。つまり、他の人たちを排除することになります。この点だけお伝えしたいと思います。
私個人は、聖書を読み、教会にも行きます。同時に寺にも神社にも行きます。古くから受け継がれている宗教は、知恵と叡智の宝庫ですので学ぶことは多く、肯定をし学び続けています。しかし、同時に宗教はコミュニティですので、一つの宗教をテーマにすると、そのアートが万人に受け入れられるわけではないのが現実です。
ポートフォリオですが、写真をプロ級にしてください。また、制作もイラストレーターなどで作ってください。というのは、作られる作品の質が高いので、ポートフォリオも同じクラスである必要を感じます。デザインのプロを雇ってもいいと思います。
作品は、それぞれ、タイトル、制作年、素材、サイズ(センチとインチ)を明記してください。
審査得点
作品 (40満点)30点
ポートフォリオ (20満点)10点
SNS (20満点)10点
エレベーターピッチ(10満点) 7点
ファン審査 (10満点)後ほど期間を限定して投票で決まります
シーズン1第1回審査 57点